はじめに
最近、会議中に「なんかうまくいかないなー」と思うことが増えてきました。時間内に意思決定できずネクストアクションが定まらなかったり、決まったことに対して後から「俺は本当はこう思うんだよね」と言われてしまったりします。そこで会議を進行させるスキルについて勉強してみました。
本記事では、まず私が会議中に感じる課題をピックアップし、その後、それぞれの解決策をまとめます。また、学ぶ過程で参考にした書籍やYouTubeの動画は「参考文献」の章にまとめました。
課題と解決策の概要
私が感じる会議中の課題と、それによる影響は以下の通りです。
| 課題 | 影響 |
|---|---|
| 意思決定に必要な材料が揃っていない | 必要な情報が不足しているため、意思決定ができず、追加の会議が必要になる |
| 会議の参加者の目線があっていない | 論点が定まらない議論が繰り広げられ、意思決定までに時間がかかる |
| 会議中に参加者の納得感が醸成されていない | 会議後に「実はこう思っていた」と、決定事項と異なる意見が出てしまう |
これらの課題を解決するために、以下のような解決策を考えました。
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 意思決定に必要な材料が揃っていない | 会議前に準備すべき情報をフォーマット化する |
| 会議の参加者の目線があっていない | 議論の目的をファシリテーターが明確に持っておく |
| 論点等をグルーピングする | |
| 優先順位のつけ方の方針を決めておく | |
| 会議中に参加者の納得感が醸成されていない | 傾聴されたという感覚を全員に持たせる |
次章では、これらの解決策の詳細を述べます。
解決策の詳細
「意思決定に必要な材料が揃っていない」とき
課題「意思決定に必要な材料が揃っていない」ことの解決策として、「会議前に準備すべき情報をフォーマット化する」方法があります。これは、参考文献に挙げた『最高品質の会議術』の丸パクリです。これは、日々繰り返される意思決定を仕組み化することが目的です。以下の例を見てください。
この例ではAさんがコストを会議前に試算していなかったため、せっかく会議を開いたのに意思決定をすることができませんでした。このような場合、会社によってはAさんが準備不足だとして責められがちです。しかし、意思決定も日々繰り返されるもの。仕組み化していなかった会社側にも工夫が足りなかったと言えるでしょう。そこで、「会議の前に準備しておくべきことをフォーマットで明確にしておく」ことが役立ちます。
『最高品質の会議術』ではフォーマットに入れる項目として「課題」「原因」「解決策」などが挙げられていました。会議の参加者に「このフォーマットを埋めてきてね」と伝えることで、準備不足を防げます。
なお、この方法はメンバーの納得感を高める効果もありそうです。フォーマットを活用することで、ボスの匙加減で意思決定されるという状況が緩和されるからです。意思決定を円滑に進めるためには、会議のボスを含めた参加者全員が、意思決定に必要な要素を認識していることが大切です。
「会議の参加者の目線があっていない」とき
課題「会議の参加者の目線があっていない」という課題に対して、以下の3つの解決策を考えました。
- 議論の目的をファシリテーターが明確に持っておく
- 論点等をグルーピングする
- 優先順位のつけ方の方針を決めておく
それぞれの解決策について説明していきます。
一つ目の「議論の目的をファシリテーターが明確に持っておく」については、あまり異論はないと思います。会議中に論点が広がりすぎたときは、ファシリが議論に積極的に介入し、議論の目的に沿った論点に適宜戻すことが必要だと考えています。
私の場合、自分も議論に巻き込まれてしまい、議論の目的を見失ってしまうことがあります。その対策として、会議中は手元に議論の目的を書いた紙を常備するようにしました。これだけでも、議論を着地させる確率が上がったと実感しています。
二つ目の「論点等をグルーピングする」は、YouTubeの動画『明日から使える会議の進行術大公開』で学んだ手法です。個人的には、グルーピングによって、参加者の目線をあえて狭めることができると感じています。図1の左側のようにグルーピングされていない場合は、会議の参加者が色々な方向を向いています。しかし、グルーピングし、どのグループに関する議論をしているのかを明確にすることで、参加者たちは目線を合わせられます。

これだけだと抽象的なので、以下に例を挙げます。
上の会議では、Aさんが提示した課題に対してみんなが色々言うので、話がまとまりません。そこで、ファシリは話を整理するために以下のようなグルーピングをします。
| 話題 | 発言者 |
|---|---|
| 課題 | A |
| 原因 | B, D, E |
| 対策 | C, F |
この整理を基にファシリは以下のように促せば、全員で同じ方向を向くことができます。
他にも会議で複数出てきた案などをグルーピングして整理することも有効です。
三つ目は「優先順位のつけ方の方針を決めておく」です。これは、意思決定を迅速に進めつつ、メンバーの納得感を高めることが目的です。例を挙げます。
このように、各メンバーが異なる基準で解決策を評価していると、議論が平行線をたどり、意思決定に時間がかかってしまいます。
そこで、ファシリは以下のように話せば、全員共通の基準で各解決策を評価できます。
ファシリが優先順位づけの方針を明確にすることで、会議の参加者の目線を「すぐに着手できること」に向けることができます。また、このような発言であればB・Cさんの発言を無視していないので、納得感を得つつ、議論を着地させることができます。
なお、優先順位のつけ方はその時の状況に依存します。具体的な例は、Appendixの「優先順位づけの方針の例」に掲載していますので、参考にしていただければと思います。
「会議中に参加者の納得感が醸成されていない」とき
課題「会議中に参加者の納得感が醸成されていない」ことの解決策として、「傾聴されたという感覚を全員に持たせる」を挙げました。会議でせっかく意見を述べたのに、正しく伝わっていなかった場合や無視された場合「自分の意見が通らなかったけれど、本当に大丈夫かな」という気持ちになりがちです。このような場合、意思決定結果への納得感を醸成することは難しいでしょう。以下の例を見てください。
この場合、Bさんの意見がないがしろにされたため、Bさんは納得していません。もしかしたら「俺は解決策Xはコストがかかるから良くないと思うんだよなー」と周囲の人に不満を愚痴るかもしれません。そこで、ファシリは以下のようにそれとなくBさんを援護射撃することが必要です。
また、Bさんの発言が的外れだった場合でも、無視することは良くないです。その場合、ファシリは以下のような発言でBさんを受け止めると良いと思います。
もちろん、的外れな発言ばかりする、長々と演説する、他者を誹謗中傷するなどの会議の進行を妨げる行為には、場合によってはスルーも必要かもしれません。しかし、基本的には参加者の意見を傾聴し、納得感のある議論を促すことがファシリの役割です。
ちなみに私個人としては、会議の参加者全員がお互いにリスペクトして傾聴できることがベストだと思っています。しかし、議論が白熱してくると、自分の意見を述べることに夢中になるあまり、傾聴を忘れてしまうというのもまた人の性です。なので、一歩引いた立場で議論を聞いているファシリが、一番傾聴に適しているのではないかと考えています。
まとめ
今回会議を進行させるスキルを勉強することで、会議中のモヤモヤ感を言語化できました。その結果、ファシリが意識すべきこと、参加者が会議前に準備すべきことが明確になったと感じています。
私の中では、参加者が会議後にすぐに動き出せない理由の一つに、「納得感の不足」があるという気づきは、大きな収穫でした。これまで「会議中で発生したタスクの締め切りを明確にする」などの表面的なテクニックは知っていましたが、それよりももっと本質的な学びがあった気がします。
今後は、学んだことを実践して、納得感のある意思決定ができる会議を目指していきます。
参考文献
Appendix
優先順位づけの方針の例
| 基準 | 例 |
|---|---|
| 焦って取り組むとやばいことになる仕事か | データ分析タスクの場合、「ストーリーを考える」が「コーディングする」よりも締め切り直前に焦ってやると事故が起きやすい。なので、「ストーリーを考える」は「コーディングする」よりも優先度高い。 |
| 締め切りが近いかどうか | 山で遭難したとき、10分後に体温維持できていないと死ぬが、食品がなくても死なない。なので、「体温維持できるタオルなどの収集」は「食料品の収集」よりも優先度高い。 |
| どちらが手段で、どちらが目的か | コミュニケーションの仕方として、「傾聴する」が目的で「相槌を打ちながら聞く」が手段。なので、「傾聴する」は「相槌を打ちながら聞く」よりも優先度高い。 |
| より多くの人に関係するのは何か | 「部で挨拶すること」は「課で挨拶すること」よりも多くの人に影響を及ぼす、なので、「部での挨拶内容を考えること」は「課での挨拶内容を考えること」よりも優先度高い。 |
| ステップの順序 | 「論文集め」のステップをクリアしないと「論文を読む」はできない。なので、「論文集め」は「論文を読む」よりも優先度高い。 |
| コストの軽重 | 「品川駅経由で渋谷に行く」よりも「五反田駅経由で渋谷に行く」ほうが運賃がかからない。なので、「品川駅経由で渋谷に行く」は「五反田駅経由で渋谷に行く」よりも優先度高い。 |
| 予測効果の大小(予測効果をどのように評価するかで順序は変わる) | 「多くの人に教えられること」を評価軸にした場合:「教室で大人数に向けて授業をする」ほうが「マンツーマンで授業をする」よりも教えられる人数が多い。なので、「教室で大人数に向けて授業をする」は「マンツーマンで授業をする」よりも優先度高い。 「生徒の満足度を高めること」を評価軸にした場合:「マンツーマンで授業をする」ほうが「教室で大人数に向けて授業をする」よりも生徒の満足感が高い。なので、「マンツーマンで授業をする」は「教室で大人数に向けて授業をする」よりも優先度高い*1。 |
| 唯一性があるか | 山で遭難したときに「水」は他のものと代替できないが、「熊の鈴」は「声を出す」で代用できる。なので、「水を持っていく」は「熊の鈴を持っていく」よりも優先度高い。 |
| ついでに別の作業をクリアできないか | 「会社に行く際に一駅歩く」は「歩く」作業のついでに「会社に行く」作業をできている。一方で、「家に帰ってきてからウォーキング」は「歩く」作業のついでに他の作業をできない。なので、「会社に行く際に一駅歩く」は「家に帰ってきてからウォーキング」よりも優先度高い。 |
| 安全か | 身体障碍を持っている方におすすめする旅行プランとして「ホテル滞在」は「山登り」よりも安全。なので、「ホテル滞在」は「山登り」よりも優先度高い。 |
| 取り組む本人の気持ちが前向きか | Aさんは技術に興味あるが、ビジネスに興味がない。なので、Aさんに振る仕事として「コーディング」は「パワポ作成」よりも優先度高い。 |
*1:お互いに補える方法を考えるのが良い(例:映像授業とメンター制度の組み合わせ)

