はじめに
日々生活していると、自分の「弱さ」を自覚する場面があります。例えば、「本当は勉強した方が良いのに、我慢できずスマホを眺めてしまったな」「ストレスに弱いな」「上司とうまくコミュニケーションをとれないな」などです。
このような「弱さ」を克服するため、非認知能力について勉強しています。
非認知能力とは、IQのように数値での測定が難しい能力の総称です。具体的な能力としては「自己制御力」「エゴ・レジリエンス」「共感性」などがあります。
今回、非認知能力の研究をまとめた『非認知能力 - 北大路書房 心理学を中心に教育・福祉・保育の専門図書を取り扱う出版社です』を通じて、基本的な概念を学びました。本記事では、本書を通じて私が初めて知った考え方を紹介します。
多種多様な非認知能力
「はじめに」で述べたように非認知能力とは、数値で測定することが難しい能力の総称です。本書で紹介されている非認知能力の一部を以下に記載します。
また、各能力は下位の細かい能力に更に分かれる場合も多いです。
例えば、本書で紹介されている「自己制御・自己コントロール」には下位能力として「衝動的攻撃を抑制する力」や「根気強さ」などが挙げられています。
このような状態なので、非認知能力と一言で言っても、その意味は人それぞれです。非認知能力について人と会話する際は、それが指す意味の明確化が重要だと思いました。
非認知能力間の関係性
「多種多様な非認知能力」で述べたように、非認知能力は複数の能力の総称です。その複数の能力間には、極めて複雑な関係性があり、それもまた非認知能力の理解の難易度を上げている気がします。
例えば、日常的なストレスに負けない能力として、エゴ・レジリエンスがあります。これと自己制御には、関連があると考えられています。
その理由は、エゴ・レジリエンスが高い人は、自己の抑制と開放の調整が柔軟で上手だと考えられているからです。
他にも、エゴ・レジリエンスは共感性とも関連があると考えられています。他者の気持ちを考えたり、状況を推し量る柔軟さが、他者から感じるストレスを減じるためと考えられています。
このような関係性によるメリット・デメリットがあります。
メリットとしては、ある非認知能力を伸ばす取り組みが、他の非認知能力を伸ばす取り組みに転用できる点です。
例えば、上述したように共感性とエゴ・レジリエンスには片方が高いともう片方も高いという関係性があります。したがって、共感性を高める取り組みが、エゴ・レジリエンスを高める取り組みに転用できる可能性があります。*2
デメリットとしては、ある非認知能力を伸ばすことで、好ましくない特性が高まる副作用が発生する可能性がある点です。
例えば、自己肯定感は個人の幸福感を高める有用な力です。その一方で、似た概念の自己愛は周囲との軋轢を生む可能性がある有害な特性です。
この二つの能力間には、片方が高いともう片方も高いという関係性が認められているそうです。この関係性により、自己肯定感を育むことで、自己愛も共に高まってしまう可能性があります。*3
したがって、非認知能力はただ伸ばせば良いわけではなく、副作用が生じていないかを注意深く観察する必要があります。
以上を踏まえると、非認知能力を高める方法を検討する際には、他の非認知能力や特性との関係性を考えることが重要です。
非認知能力の測定
非認知能力についてググると、「数値で測れない力」と紹介している記事が多く出てきます。
確かに、非認知能力は学力テストなどの方法では測定できません。しかし、測定が限定的で難しものの、全くできないわけではありません。
例えば、自己制御力についてはバラット衝動性尺度という尺度があります。これは、自己制御が機能できていない状態を測定するために開発された尺度です。
このように、非認知能力は測定できないわけではなく、限定的ながら測定は可能であり、専門的な知識が必要である、と理解するのが適切です。
伸ばすべき非認知能力の選び方
これまで述べてきたように、非認知能力は複数の能力の総称です。したがって、非認知能力を高めようとするのであれば、どの非認知能力を高めれば良いかという疑問が生じます。
この疑問に関連して、本書に以下の文章が記載されていました。
逆境の際に求められる能力は、実は平時においては望ましい特性ではない可能性もあります。たとえば、食べるものもないほどの貧困の状況においては、「正直さ」よりも「だます力」のほうが、生き延びるために必要かもしれません。
この文章を読み、私は社会適応の仕方は、個人とその個人を取り巻く環境によりけりであると理解しました。
非認知能力を伸ばす目的の一つは、個人の社会適応を促すことです。そのため、どの非認知能力を伸ばすか決める際は、 社会一般の物差しで考えるのではなく、目の前の具体的な個人とその個人を取り巻く環境から出発して考えるべきだと思います。
日常生活と非認知能力
非認知能力についてググると、非認知能力を伸ばすと謳う教育プログラムが多く出てきます。これらを見ると、非認知能力を伸ばすには、特別な教育プログラムを受けなければならないという焦りに似た気持ちになります。
これに関して、本書では以下のように書かれています。
普段の何気ない経験そのものが自己制御の成長につながっているという点です。(中略)普段の生活の中で自分の目標を積極的に設定させ、達成度の評価を行わせる、達成した際には周囲からの肯定的評価を得られるようにするといったような取り組みは、教育現場にすぐにでも取り入れられることであるように思います。
特別なプログラムのことはもちろん否定しませんが、日常生活の中で非認知能力を伸ばす方法を考えることが重要だと思いました。*4
結論
今回、非認知能力について学んだことで、私は以下の五点の事柄を新しく知りました。
一点目は、非認知能力には多種多様な能力が含まれている点です。
例えば、自己の行動を律するための自己制御力、適切な対人関係を結ぶための共感性、ストレスから身を守るためのエゴ・レジリエンスがあります。そのため一言で非認知能力を伸ばすといっても目指す方向は様々です。
二点目は、非認知能力は互いに複雑に絡みあっており、各能力の関係性を正確に特定することは難しい点です。
例えば、共感性とエゴ・レジリエンスには片方が高いともう片方も高いという関係性があります。
このような関係性によって、ある能力に関する取り組み方法を別の能力への取り組みに転用できるメリットや、逆に伸ばしたくない特性が伸びてしまうデメリットがあります。
三点目は、限定的であるものの、非認知能力の高低を測定できる点です。
非認知能力についてググると、「数値で測ることのできない力」と紹介している記事が多く出てきます。
確かに、非認知能力を測定することは簡単ではありません。しかし、自己制御におけるバラッド衝動性尺度のような、自己制御に関する衝動性に着目した尺度などがあります。
非認知能力の特定の側面に注目し、その側面を測定するために開発された尺度を使えば、ある程度は測定できます。
四点目は、どの非認知能力を伸ばすべきか考える際の出発点についてです。
社会適応の仕方は人それぞれです。また、その個人を取り巻く環境にも依存します。これら両方を勘案してどの非認知能力を伸ばすべきか考えることが重要だと考えています。
五点目は、非認知能力は日常生活からも学び取れる点です。
非認知能力についてググってみると、「非認知能力を伸ばすための特別なプログラム」を提供するサービスが多く目に入ります。
しかし、非認知能力は特別なプログラムに限定されず、日常生活からも獲得できます。
私個人としては、日常生活を通じて非認知能力を獲得する方法をしっかり検討することが大切なのではないかと考えています。
本記事では、非認知能力について私が新たに知った点をまとめました。今後は、私自身がどのような非認知能力を獲得すべきか、考えていきたいです。