序文
先日、病院で大腸カメラの検査を受けた。肛門から内視鏡を入れて、大腸を中から隅々まで見る検査である。
本記事では、これから大腸の内視鏡検査を受けることが決まり、恐怖に震えている日本全国の皆さんに向けて、少しの安心感を持ってもらうために私の経験を記すものである。
なお、私は医師ではなく一介の患者でしかないため、誤った知識を書いているかもしれない。その点はご容赦頂きたい。
大腸検査で一番大事なこと
大腸検査で一番重要なこと、それは大腸の中を検査前に綺麗にしておくことだ。そこで検査前日は病院から渡された流動食(意外と美味しい)を食べなければいけない。
また、検査前日の就寝前に下剤を飲む。この下剤は8時間後くらいに効いてくるらしい。そのため、明け方に便意で起こされるかもしれないとの心構えをしておくことが重要だ。自分の場合は子どもの就寝時間に合わせて22時くらいに下剤を飲んだ。したがって、翌朝6時くらいに排便がくるはずである。
夜中の23時、突然排便コントロールを喪失した。幸い漏らしても大丈夫なように準備をしていたので、パンツを一枚失ったくらいで済んだ。
ここから怒涛の便・便・便である。結局草木眠る丑三つ時までトイレは続いた。
「話が違う」
そう思った。お医者さんからは8時間後に効いてくると聞いていた。しかし、現実は1時間後である。
一方で、自分の過去のうん漏れ実績から、漏れても大丈夫な準備を万全にしていたことについては、適切な自己分析ができていたことを誇りに思う。
この準備をしてくれたのは、妻である。余っていた息子のオムツやテープなどを上手いこと組み合わせて、お手製オムツをこしらえてくれた。ありがたい妻である。うんこ漏れて地固まるとはこのことだ。
そんなこんなで夜中はまんじりともせず一晩が明けていった。陽が上がってくるのを窓から見ながら、ついにこの日が来たことを実感する。間違いなく、大学受験の日よりも緊張していた。
検査当日
翌朝、さらに下剤を飲む。ここからが鬼門で、2時間かけて3リットルの下剤を飲む。その結果、便意が止まらなくなる。
下剤を飲んだ結果トイレに行っている状態なのか、トイレに行った結果下剤を飲んでいる状態なのかわからなくなる。最終的には、下剤のノルマを達成するため、トイレで排便をしながら下剤を飲んでいた。
普段はマルチタスクが苦手な自分も、ここぞというときにはできるものなのだと、自分を見直した。
ちなみにこのとき、スポーツ飲料味の下剤をたしなみながら、『紅の豚』を見た。
テレビの中では、ハードボイルドな豚が飛行機で飛び回っていた。それを「ハードボイルドな豚は大腸の内視鏡とか受けないんだろうな、だってイメージ崩れるもんね」と思って私は見ていた。トイレに行かないアイドルと同じである。
余談ではあるが、紅の豚の名台詞「飛ばない豚はただの豚」というセリフを「飛べない豚はただの豚」と私は勘違いして覚えていた。
「できるのにやらない」と「できないからやらない」の差は大きい。前者はハードボイルド業界では最も忌み嫌われる態度である。怠惰。精神の弛緩。「中学2年生は中弛みの時期ですよ〜」である。
後者は「仕方なし」である。
さて、無事にお尻から透明な液が出るようになったので病院に向かう。
肛門の豚もちょうど見終わった。
病院への道中
電車に乗って病院に向かう。このとき一番怖いのが、途中で漏らすことによって人間の尊厳を失うことである。そこで、電車内で漏らさないようにするための案を考える必要がある。
そこで、因子間の関係性を整理する。
- お尻の緩さは、うんちが出る出ないを決める重要因子である
- お尻の緩さは、自分の意志である程度制御できる内部因子である
以上の関係性を踏まえると、「自分が気持ちを引き締めれば、うんちを漏らさない可能性がある」という結論が得られる。外コンでロジカルシンキングを鍛えられていたため、電車に乗っている際のうんち我慢戦略を立てることができた。
しかし、この戦略にも一つだけ弱点がある。「電車の中で知り合いに会った場合、尻への集中力が奪われ、うんちを漏らす可能性がある」という点である。
これは杞憂に終わった。
病院に到着
家から30分ほどかけて、予約していた病院に到着した。ここからは、一人の看護師さんが私の面倒を見てくれるらしい。サバサバ系の女性看護師さんが、私の担当だった。トイレで排便したら、この看護師さんに見せて、腸内がキレイになっているか確認してもらう。
時間はちょうどお昼過ぎ。サバサバさんは恐らくお昼ご飯を食べそこなってしまったのだろう。サバの塩焼きが入ったお弁当を持って控室に行ってしまった。
サバさんが控室に入った瞬間、僕は激しい便意を感じた!身体の底から湧き上がる力、古来からありとあらゆる生物が出してきたうんこ。自分も命の一つであることを実感し、楽しかった。
トイレで便を出したので、サバさんを呼ぶ。サバさんが控室に入ってまだ2、3分だろう。サバさんがサバのお弁当を開けたくらいにおじさんのうんこを見なければならない。なんと因果な仕事だろうか。
しかもこの動きが2回あった。つまりサバさん目線で見れば、「サバさんがサバ弁当を開ける」→「おじさんのうんこを見る」→「サバ弁当を食べ出す」→「おじさんのうんこを見る」という感じであろう。
一つ救いになったのは、下剤によって腸内は非常に綺麗になっており、出たうんこに臭いがないこと。これにより、サバサバさんの between うんこ & サバ弁当シャトルランは少し楽になったかもしれない。
余談であるが、人のうんこを見ることを看便(かんべん)という。これは、医療や福祉で使われるどちらかというと固い単語である。以前、妻と一緒に「月曜から夜ふかし」を見ていて知った言葉である。
余談どころか、完全に話が脱線するが、医療用語の「オペ」について一つ思うところがある。「オペ」とは皆さんご存知のように、元々運用を意味するオペレーションからきた単語である。したがってシステム開発の運用のことを「オペ」と言うことはできないだろうか?
ITシステムにおける運用フェーズは一般的に嫌がられる。しかし、「オペばかりしている仕事だよ」と言って求人を出せば、魅力を感じて採用活動が楽になるのではないか?
そんな馬鹿はいない。
そのような感じで、IT業界の現状に思いを馳せていたところ、検査室に呼ばれた。
検査室にて
検査室ではサバさんがテキパキと準備をし、あっという間に点滴を入れられた。
点滴開始から10分、なんだかすごく気持ち悪くなってきた。点滴で入れる鎮静剤は人によっては気持ち悪くなることがあるという。そこで、サバさんに気持ち悪い旨を申告してみた。
僕「あの~点滴始まってから気持ち悪くなってきて〜」
サバさん「針刺して準備しただけで薬は入れていないんだよね〜。怖くて気持ち悪くなったんじゃない?」
図星だった。
実は検査台に登った瞬間、私は恐怖感に駆られていた。
「だってこれから大腸に棒入れるんでしょ?そんなん痛いに決まっているじゃん。」
台の上に乗っただけで恐怖を感じるとは情けない。私は腐っても一児の父親である。ここは一発大人の威厳をかまさねばならんと思った。
だがその直後鎮静剤を投与され、ウトウトしてしまった。「威厳をかますのはまたの機会で良いよね〜」と鎮静剤によるウトウト感で気持ち良くなってしまった。
肝心の内視鏡検査は、薬でウトウトしていたためよく覚えていない。ただ、印象的だったのは、肛門を強めに押されている感覚はあったが、お腹に内視鏡が入っている感覚は全くなかった。
なんなら薬のおかげで非常に落ち着いた心地よい感覚が得られた。あれなら毎日やっても良い。
最後に内視鏡が撮影した大腸の写真についてお医者さんから説明されておしまいである。非常に綺麗な大腸だった。自分って大腸が綺麗なんだという新しい発見をし、自己肯定感も上がった。
まとめ
今回の経験で私は以下のことを学びました。
皆さんの大腸カメラライフに幸あれ!