初心者データサイエンティストの備忘録

調べたことは全部ここに書いて自分の辞書を作る

【読書記録】図解論語

論語と算盤」を読み論語の原典を読んでみたいと思うようになりました。しかし、原典を読んで砕けるのも嫌で、ついつい解説本から読んでしまいました。

論語と算盤についての記事はこちら) aisinkakura-datascientist.hatenablog.com

本書は明治大学教授の齋藤孝による、論語の解説書です。正確には論語の言葉を基に、齋藤の考えが書かれた本です。 したがって、論語そのものを学びたい人には向いていません。また、齋藤の考え方に納得できない人にとっては面白くない本だと思います。実際、私も「この考え方は正しくないだろう!」と思う箇所もありました。 その一方で「なるほど!」と思うことも多々あったため、書評を書いて自分の血肉にしたいと思います。

知者と仁者

知者と仁者は人の気質を表す言葉だそうです。知者は行動量が多く、たくさん働く人を指します。一方で、仁者は落ち着いており、ゆったりした人を指します。

知者と仁者はどちらが良いというものではなく、人を分ける基準です。そのため「どちらになるべきか」ではなく、「どちらであれば自分が善い生き方をできるか」という観点から知者と仁者を見るべきだと本書には書かれています。

話は逸れますが、平野啓一郎が書いた「私とは何か 「個人」から「分人」へ」という本があります。この本で提唱されている「分人」という概念を平たく言えば、人間は時と場合、相手によって気質がコロコロ変わるということです。

自分の場合、「この足りない要素」を自分が持っている分人に当てはめていこうと思いました。つまり、自分に勢いがあって周りが見えなくなるときは、(知者側に傾いているとき)仁者の要素を、落ち着いて行動が鈍くなる時には知者の要素を足していきたいと思っています。これにより、調和の取れた人間になれるのではと思っています。

理解していることとできていないことの明確化

ドキッとしました。仕事を曖昧な状態で進めてしまうことが多々あるからです。斎藤孝は曖昧な状態で仕事を進める人は「一番伸びない」とまで言っています。

私の場合、理解しているつもりになっていることが多々あります。そのため、資料を作成した後に、認識齟齬が発生してやり直しということもよくあります*1

本書で斎藤は下記のように述べています。

境界線を引くことを、ワザ化するー。(中略) これができる人は、自分の能力を常に意識化できるので、自分に不向きなことがあったとき、無理に踏み入ることをしません。そのかわりに得意なところをググっと押し出し、「ここの範囲なら大丈夫です」と、自信を持って請け負うことができます。

ああ、なるほどと思いました。分かっている部分は、自信を持つことができるし、分かっていないことから不安が生まれるのだと思います。 それを自分の仕事に当てはめてみます。自分は仕事をする上で、漠然とした不安を抱えて仕事を進めることが多いです。その原因は曖昧なところを残したままであるからだと気がつきました。

以上のことから、理解できていることと、いないことを峻別することの重要性は理解できました。 しかし、どうやってその峻別を行えば良いのか?それに私は非常に悩みました。

その方法として、仕事を要素分解し、理解できていることと、いないことをリスト化することにしました。 例えば、スケジュールを立てるという一事についても、次の要素分解が必要です。

  • 顧客が成果物を必要とする時期はいつか?
  • 顧客が必要とする機能・性能・品質は何か?
  • 弊社が必要な工数はどの程度か?
  • 弊社が提供できるリソースはどの程度か?

これらの各要素に対する答えを自分は持っているのか、いないのかをまず最初に考え、わからないことについては仮説を立てて上司や顧客に相談することが非常に重要です。

今後は以上のような要素分解と、どの要素を私は理解できていて、どの要素を理解できていないのかを明確化することで仕事のクオリティを上げていきたいと思います。

述べて作らず

私の課題の一つに情報収集力の弱さがあります。情報収集力といっても色々あると思いますが、私の場合会議で話されたことなどがすぐに抜けてしまうのです。 また、過去資料を読んでも、読んだそばから忘れてしまいます。 そのため、自分の中に情報が蓄積されず、仮説構築などに活用しきれないということが起こります。

孔子が言う「述べて作らず」は本書いわく、

自分は、クリエイティブなことを言っているのではない。古のよき言い伝えをもう一度語っているだけなのだ

ということだそうです。私の仕事の場合、古⇒上司・顧客・過去資料、言い伝え⇒上司・顧客の主張・過去資料に記載されている提案や分析示唆になると考えています。

この文章の中で私にとって最も大事なことは「もう一度語っている」の部分だと感じています。 この語るの部分を自分はできていなかったと反省しました。*2

となれば、何をすれば良いかは明確。上司や顧客が言ったこと、資料に書かれていることを語れば良いのです。 実際は、語る相手が毎日はいないので、その日の夜に文章にして書き出すということをしようと思います。

まとめ

本書を読んで取り組もうと思ったことは3点です。

  • 知者と仁者を意識する。知者が足りないときは仁者を、仁者が足りないときは知者を足す
  • 仕事に取り組むときは、要素分解して理解していることと、いないことを明確化する
  • 顧客・上司が話したこと、過去資料に書かれたことを書き出す。また、語る相手を見つけてできるだけ語るようにする

これらの取り組みをできているか日に3回振り返ろうと思います*3

*1:そんな自分の特性を理解しているので、しつこいくらい上司に確認するようになりました。嫌われないか心配です

*2:ちなみに、インプットしたことを人に語ることの重要性は「アウトプット大全」という本にも書かれていました

*3:日に3回振り返るというのも孔子論語に書いてあるようです