初心者データサイエンティストの備忘録

調べたことは全部ここに書いて自分の辞書を作る

【読書記録】社長の哲学

本書を手に取った理由

仕事に向き合う自分の態度を改善するためです。
ここ最近、自分の仕事に対する心構えや志をなんとかしたほうが良いのではと思うことが多々あります。そこで、歴代のカリスマ経営者が書いた本を読み漁っています。
本書はその3冊目です。
ちなみに過去2冊の書評はこちら。

aisinkakura-datascientist.hatenablog.com

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今回は本書を読んで印象に残った言葉について書いていきたいと思います。

気が狂ったかと思われるぐらいにならなければいけない

タクシー会社であるMKグループオーナ青木さんの言葉です。

なぜそこまでするのかといえば、いいものを作るためには一心不乱、気が狂ったかと思われるぐらいにならなければいけないからです。そこまでしないと決していいものはできない。

これは、青木さんが毎日(!)無線を通じて社員教育をしていることについて述べたものです。毎日無線を通じて全社員に教育を行っているから、お客様に良いサービスを提供できていると青木さんは言うわけです。
私はこれを読んで、「ああやっぱりそうなのか」と思いました。要領よく仕事をする方法について書かれた本が世の中にたくさんありますし、手際よく仕事をする人が世の中褒められます(そう感じているのは私だけかもしれませんが)。私はそういった情報を鵜呑みにし、なんとか要領よくできないかということばかりを考えていました。しかし、社長になるような人でもお客様に良いサービスを提供するために、こういった泥臭い努力を重視し、また実践していることは私にとって非常に印象的でした。

プールに水一滴の努力を惜しまない

イエローハット相談役の鍵山さんの言葉です。

「この秋は雨か嵐か知らねども今日の勤めに田の草を取る」という歌があります。さんざん炎天下で骨を折っても、もしかしたらこの秋は大雨が降るかもしれない。大嵐になるかもしれない。日照りになって収穫がないかもしれない。しかし、そういうことは別として、とにかく今日の自分の勤めとして田の草を淡々として取っていく。そういうことを教える歌です。(中略)たとえば、コップ一杯の努力を皆さんがなさったとします。そのとき、もう一滴分だけ足しなさいといわれて、それをやる人はいないのです。なぜかというと、そこに一滴足しても増えたかどうかわからないからです。(中略)どうか結果や未来を常に約束されたり保証されたりすることを期待しないでください。何もないことを、むしろ危険だけ待ち構えていることを、「それでも私は正しいと信じたからにはやる」という考え方を持っていただきたいと思います。

努力についての言葉ですが、この考え方は私のような不器用なタイプに合致していると思いました。というのも、私は要領が悪く、ゴールを明確にして努力するということができません。大きく回り道をしながら結果的に人より劣った地点にゴールするということが過去には多々ありました。 そのため、人よりも多く努力しなければ、生き残ることができません。
また、水一滴分という言葉の意味ですが、これは努力量ではなく、成果の比喩だと私は解釈しました。コップ一杯分の努力と、そこに水一滴を追加するのに必要な努力の量が同じでも、努力すべきというのが鍵山さんの言いたいことだと私は解釈しました。
私は器用に立ち回れないタイプなので、水一滴分の努力を惜しまないようにしたいです。

一杯のコーヒーを通じて安らぎと活力を提供する

ドトールコーヒー社長の鳥羽さんの言葉です。以下のような、「使命」に関する文脈の中でこの言葉は紹介されました。

(前略)「喫茶業が世に存在する意義はなんなのだろうか」ということを考えました。(中略)そして、「一杯のコーヒーを通じて安らぎと活力を提供することが喫茶業の使命ではないのか」と感じました。(中略)喫茶店の店長に任命された十九歳のときに、「喫茶業とは一杯のおいしいコーヒーを通じて人々に安らぎと活力を与え、お客様を建設的な方向へと向かわせるものでなくてはならない」と感じました。

鳥羽さんが最初に勤めていた会社で、喫茶店の店長を任された際の言葉です。
この文章を読み、データサイエンティストの使命というものを考えてみました。 私はデータサイエンティストの役割を「分析結果を基にしたコンサルティングを行い、お客様の成果を上げる」ことだと考えています。しかし、現状私が行っている仕事は、お客様の御用聞きのような状態に留まっており、「お客様の成果を上げる」ことまで結びついていないと感じています。お客様が分析結果を見て動き出してしまう。そんな状態を私は目指したいと思いました。
なお、お客様が分析結果を見て動き出してしまうためには、分析結果に驚きと納得の両方が兼ね備わっている必要があると私は考えています。そのような分析をコンスタントに生み出すためにはコンサルティング・技術力の両方が必要です。両方のスキルを高めるための努力を惜しまないことが、現在の私にできることかと考えています。

本のセールスができなかった幸せ

ダイソーの社長の矢野さんの言葉です。

東京へ出た私は、図書月販という会社で本のセールスをはじめました。(中略)私には本を売る力が全くありませんでした。(中略)自分には運がないけれど能力もないんだなということを、骨の髄まで思い知らされました。でも、あとになって思うと、あのときなまじセールスがうまくできて、二十四人中十位くらいにでもなっていたら、きっと故郷の広島に帰ってどこかの営業所に入り、そこの所長になることを目指していたでしょう。そして、そのまま図書月販にとどまっていたらどうなっていたでしょうか。図書月販はその後ほるぷという会社になりますが、五、六年前につぶれてしまいました。あのとき本のセールスができなかった幸せというものを、今感じるのです。

矢野さんは、本のセールスをしていましたが、全くうまくいきませんでした。その経験を「当時はノイローゼになりながら働いていたものの、今ではできなかったことが幸せ」と振り返っています。
私が本書を読んでいたとき、ちょうど会社の人事評価が発表された時期でした。正直、私は昇格すると思っていたのですが、実際には昇格できませんでした。その際悔しく、情けない気持ちになり、非常に落ち込みました。ですが、今回昇格できなかったことが後々自分の幸せにつながることもあるのではないかと、矢野さんの言葉を通じて感じることができました。
上でも書いたように私は現時点でデータサイエンティストの使命を十分に果たせていると思っていません。もし昇格していた場合、私はそのことに満足してしまい、データサイエンティストの使命を果たすということに対して生半可な気持ちになっていたと思います。それが、今回昇格できなかったことで、より熱心に使命を果たそうと思うことができました。昇格できなかったことが、より努力する契機となったのです。5年後に「あの時昇格できなくて良かったな」と言えるよう努力を積み重ねていきたいと思いました。

まとめ

「社長の哲学」に載っていた私にとっての印象的な言葉をまとめました。 それぞれの言葉は下記のように分類できると思います。

  • 努力に関する言葉
    • 気が狂ったかと思われるぐらいにならなければいけない
    • プールに水一滴の努力を惜しまない
  • 使命・志に関する言葉
    • 一杯のコーヒーを通じて安らぎと活力を提供する
  • うまくいかないことへの心構えに関する言葉
    • 本のセールスができなかった幸せ

この本で得られた考え方は実践してなんぼです。仕事が辛くなったときに、このブログや本書を読み返して実践していきます。